令和7年1月17日(金)
第837回平塚市倫理法人会経営者モーニングセミナー
【夫婦愛話】
一般社団法人倫理研究所 法人局 川内 美喜男 法人スーパーバイザー
落語の寄席では、話の締めに「おあとがよろしいようで」と言うことがあります。
これは、次の話の準備が整ったことを意味し、自分を控えめにして次の人の話を引き立てる心遣いです。
この心遣いが、夫婦間でも大切な姿勢ではないかと思います。
今回のテーマ「夫婦愛和」には、夫婦が互いに支え合い、調和をもって家庭を築いていく意味が込められています。
その道を歩む上での気づきや葛藤、そして感動的なエピソードを、川内美喜男氏の講話を通じてご紹介します。
苦難の中での気づき
阪神淡路大震災のエピソードに触れたとき、被災地で温かいカレーを配給していた自衛隊の方々に対し、心無い言葉を投げかける人がいたと聞きました。
善意で行動する人を傷つけるような行為は倫理的ではない、むしろ自らも傷つけてしまうものだと川内氏は指摘します。
この話から、夫婦間でも同じことが言えると感じました。
無意識に発した言葉や行動が、相手を傷つけ、結果として自分も傷つくことがあるのです。
夫婦は「互いに照らす一対の反射鏡」であり、相手の欠点に気を取られると、自分の心の汚れを見落としてしまいます。
まずは自分がどうあるべきかを考えることが大切なのだと語られました。
夫婦間の誤解と和解
川内氏自身も、夫婦関係でさまざまな葛藤を経験したと言います。
ある日、奥様が友人の看病のために家を空けることになりました。
「気が済むまで行っていいよ」と言ったものの、何日も家事が滞る状況に苛立ちを覚え、不満を口にしてしまったそうです。
そんなとき、子供が熱を出す出来事があり、「気合が足りない」と厳しい言葉を投げかけてしまったこともあったとのこと。
しかし、倫理の教えである「夫婦は一対の反射鏡」という言葉を思い出し、改めて奥様の行動を見つめ直しました。
そして、表面上ではなく心から「気が済むまで行っていい」と思えるようになり、それがきっかけで二人の関係が少しずつ和らいでいったそうです。
男尊女尊という考え方
九州男児として生まれた川内氏は、よく「男尊女卑」と揶揄されることがあったと言います。
しかし、彼が強調したのは「男尊女尊」の考え方。
互いを尊重し合うことで、夫婦はより良い関係を築けるのだと話します。
たとえば、家で何気なく洗い物をしたとき、「どのスポンジで洗ったの?」と注意されて苛立ちを感じることもある。
それでも、こうした日々の小さな出来事を通じて、お互いを思いやる大切さを学んでいったそうです。
また、「男が一歩先を行き、女性や子供を守るのが本当の優しさではないか」という考えを例に挙げ、男としての責任を果たすことの意義についても触れました。
笑顔が生む幸せ
夫婦愛和の本質は、相手の幸せが自分の幸せに直結することだと川内氏は語ります。
「自分が褒められるよりも、奥様が笑顔でいることの方が何倍も嬉しい」。
この一言に、夫婦愛和の全てが凝縮されているように感じました。
家庭は一つのチームであり、親が仲良くしていなければ、子供の心にも影響を与えてしまいます。
「夫婦道」を歩む中で、立場ある自分がどれだけ家庭を理解し、支えているかが問われます。
親の姿を見て育つ子供は、家庭という舞台で親が演じる役を学び取るからです。
最後に
講話の最後に川内氏は、「お後がよろしいようで」と締めくくりました。
これは、次の世代へとバトンを渡す夫婦の姿勢そのものです。
家庭の中で夫婦が互いを尊重し、調和を持って歩む姿は、子供にとっても周囲にとっても心に響く生きた教えとなります。
夫婦愛和とは、困難の中でもお互いを思いやり、許し合いながら歩む道。
その道を一歩ずつ進むことで、家庭には温かな光が灯り続けるのだと感じさせる感動的な講話でした。
幹事 鱸 智子 記










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