いのちのバトン

7月5日(金) 第809回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【いのちのバトン 産み方は在り方】山西 朋子
平塚市倫理法人会 幹事
助産院 LunaLuna 院長

平塚八幡宮という神社でお話をさせていただけることを助産師として嬉しく思う。

なぜなら女性は自分の身体の中に神社を持っているから、と笑顔でお話が始まりました。

鳥居=女性の足

そこから進んで

本殿=子宮(子のお宮さんと書く)

そこへ繋がる

参道=産道

まさに神社は女性の身体そのものですね❗️

神社へ参拝して帰ってくることは

新しい自分に産まれ変わる儀式とも言われているそうです。

子どもが出来る確率について。

一生のうちで女性からは400個の排卵がある。

そこに出会える射精1回中に含まれる精子3億個のうちの1個。

400×3億分の1の確率で出会った卵子と精子は、

宝くじの1等を当てるよりもさらに10倍も高い確率だそうです。

そんな奇跡的な存在である子どもたちが産まれてくる現場で働いているという山西さん。

昔の川柳で

「大名を胴切りにする子安婆婆」

これは、何人たりとも横切ることが許されない大名行列でしたが、

産婆さんだけは世継ぎを産むためにそれが許されたということを歌っているもので、

それほど「お産」を助ける産婆さん(助産師)という存在は偉大でした。

そんな助産師になりたいと思ったきっかけ。

自分も助産院で産まれ、

5歳の時に弟も助産院で産まれてくるところに立ち会う経験をした。

お産=幸せそう、楽しそうというイメージだった。

お母さんがおっぱいをあげている姿も幸せそうだった。

自分も助産院で働きたい❗️と思った。

その時に産婆さんに言われたこと、

「10年は病院で働き、正常と異常を見分けられるようになりなさい」

しかし、

病院で立ち会う産婦さんは「怯えている」という印象。

痛みが怖いのは当然ですが、疲労困憊で、

いつ子どもが産まれるのか不安で仕方がないという方ばかり。

「心と身体の準備ができていない」のが原因だと感じた。

友人に付き添ってたまたま行った助産院の助産師さんから、

ちょうど引っ越しで助産院をやめるため、

ここで助産院を続けてくれないか?とのお誘いをいただく。

初めは断ったものの、気づきました。

その時が助産師になって病院で働いてちょうど10年目だった。

助産師になりたい❗️と思い、

産婆さんに当時言われた「10年」という節目に運命を感じて助産院を引き継ぎ、

開業したのが2016年のことでした。

その後平塚に助産院を移した際に、

平塚で事業をするならと紹介された倫理法人会に入会。

入会後すぐに受けた倫理指導。

「事業がうまくいく方法」を漠然と相談したところ、

両親との関係を聞かれ、父との関係があまり良くないことが露呈する。

10年口を聞いていなかった父に対して、

実践として父に挨拶をすること。

「お父さん」と声をかけて挨拶することで、

父からも声をかけられるようになる。

自分が生まれてくることを誰よりも祝福して、

出張先から新幹線でわざわざ会いにきてくれるほど愛されていたことを知る。

そんな父が助産院を開業したあと自分の仕事のことでも心配してくれていたのだと痛感した。

心から両親に対して感謝ができていなかったと気付かされた。

さらに倫理指導で「なんでお産をやらないんだ?」とも言われていた。

「分娩」を取り扱うには嘱託医が必要になるなどハードルが高く、

助産院と提携してくれる病院を探すのも大変で諦めていた。

しかし、倫理指導をしてくれた田中肇先生の言葉で、本当は「自分はお産をやりたい」と思っていたことにも気付かされた。

周りの方達からの応援もあり、

今年3月の自分の誕生日に無事「分娩」の申請をし開業することができました。

と笑顔で報告される山西さんが印象的でした。

助産院の先生は日常を丁寧に生きている。

どんなに忙しくても規則正しく、

丁寧な日常生活を送られている。

そこに来ている産婦さんたちも、

そんな助産師の姿を見ることで料理や針仕事を覚え、

その日常生活の延長に自然なお産があり、

心と身体の準備が自然と整っていくのだと感じた。

図書紹介:「無痛安産の書」

丸山敏雄創始者の書かれたこの本にも、

まさに「日常生活の延長線上にお産がある。」と書かれていた。

お産は何も変わったことでも特別なことでもない。

「夫婦仲良く過ごすことが痛みのないお産に繋がる」とも書かれています。

感動と喜びに包まれる空間である助産院が大好き。

必要なのは人としての在り方や自分を整えること。

そのために倫理法人会の学びは大切だと思えた。

今年3月初めて参加した「富士研合宿」

2泊3日を本当に丁寧に過ごし、両親への感謝が自然と溢れてきた。

3月の雪も散らつく天候の悪い中、最終日には富士山が綺麗に見えるほど晴れ渡った。

それは参加者の心の様子を見事に現しているようでした。

お産の現場も全く同じで、

不安があるとなかなか進まないお産が、

信頼している旦那さんが到着したと同時に急に進むなど

心の在り方が自然界にも影響を与えるのだと実感した瞬間でした。

『反始慎終』

元を忘れず末を乱さず

「お産」という枝葉の部分だけ切り取られて、

末=両親への感謝や自然に生かされているということが忘れ去られている。

自宅で最期を迎えたいと思う人がいるように

自宅で出産を迎えたいと思うことが当然のことになるように、

これからも頑張っていきたい。

1%しかいない「助産院」での出産だそうですが、

病院で産むこと以外の選択肢があることすら知らない方が多い世の中で、

「助産院」という自然な産み方があることを世の中の人にも是非広めていきたいと思いました。

幹事 島田 幸一 記


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