6月28日(金) 第808回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【記憶に残す志事は唯一無二の財産になる】山田 舞
株式会社アイム 代表取締役
高齢者施設向けのオンラインコンサート配信や健康・美容サロン経営、巫女さんの育成事業など多彩な活動をされている山田様が、故・八代亜紀さんとの出会いを含め、「記憶に残す仕事は唯一無二の財産になる」というテーマでお話しくださいました。
お話は映像を交えながら進行しました。 山田様は幼少期を長野県で過ごされた後、家族とともに愛知県に移り、祖父母と同居することになりました。ほどなくして、祖父母ともに認知症を発症し、母親は繰り返される徘徊などに振り回されながら必死に介護をしていましたが、当時の山田様は母親の苦労やストレスを知る由もありませんでした。
中学生の時、母親が卵巣癌で倒れてしまいます。手術後も明るく振る舞っていましたが、最終的には帰らぬ人となってしまいました。その半年後には祖父母も亡くなり、姉は遠方の学校へ進学し、賑やかだった6人家族は父親との2人暮らしに一変してしまいます。自分に突然訪れた不幸を恨み、周囲に当たり散らす日々が続きました。高校、専門学校を卒業して就職し、少しずつ普通の生活を取り戻しつつも、母親の死を受け入れられずにいました。
追い打ちをかけるかのような友人の事故死。またも大切な人を奪われ、悶々と塞ぎ込む日々が続きました。 ある日、父親が「色々な国を舞うように」という願いを込めて付けてくれた「舞」という名前の由来が思い浮かび、海外を目指しました。ボランティアスタッフとしてピースボートに乗船し、南半球を1周しました。生と死の狭間で懸命に生きる人々を見て、一度きりの自分の人生を人のために尽くしたいと考えるようになりました。
介護を含めた人を癒すための知識や技術を身につけていきました。そこには、母親がいつもおまじないのように言っていた「あなたなら絶対できる」という心の言葉の支えがありました。 八代亜紀さんとの出会いがありました。今回のモーニングセミナーにゲストとして参加された吉田エンターテイメント株式会社の吉田社長と別の事業の関係で夕食をご一緒した際に、八代亜紀さんのオンラインコンサート配信のMCを依頼されたのです。
一度限りのことと思って何の抵抗もなく引き受けた仕事でしたが、その後合計15回、MCを任されることになりました。八代さんは、コロナ禍の影響で失った勇気や元気、笑顔を取り戻したいという思いで、高齢者施設向けのオンラインコンサートを始められました。
山田様もその思いに賛同して、一所懸命にMCを務めました。 講話の中では、実際に行われたオンラインコンサートの様子が映像で紹介されました。有名な「雨の慕情」や「舟歌」を唄う姿とともに、八代亜紀さんと高齢者施設の利用者さんとのやり取りが映されました。明るく、可愛らしく、丁寧に対応する八代さんですが、最後の「一緒に頑張ろう!」というメッセージが大変印象的でした。
八代さんは昨年12月30日に急逝されました。またしても大切な方との別れを経験する山田様ですが、以前とは違いました。人は何かの使命を持って生まれてくる、誰かに愛されるために生きている、母親や八代さんが与えてくれた無償の愛を胸に、これからはその思いを繋いでいきたいと締めくくられました。山田様は現在、八代さんと親交のあった歌手の方々の歌を高齢者施設にオンライン配信されています。間違いなく、山田様の思いは利用者さんに届いていると思います。
鈴木 孝一 記
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