6月7日(金) 第805回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【苦難福門~企業再生の修羅場で学んだこと~】佐田 展隆
東京都小金井市倫理法人会 会員
株式会社オーダースーツSADA 代表取締役社長
講話者は、(株)オーダースーツSADA代表取締役社長として、現在日本一のオーダースーツチェーン店を率いておられます。
前日のイブニングセミナーに引き続いてのモーニングセミナー講話となりました。ご自身の出身大学にゆかりのある渋沢栄一の「論語と算盤」を引用し、前日は算盤(経営)、本日は論語(倫理)に分けてご講話いただきました。
冒頭に、これまでの壮絶なご経歴をお話いただきました。100年の老舗の4代目として、2003年に大手企業から父親に乞われる形で家業に入社し、社長に就任するも、大手得意先の倒産ですでに経営が悪化しており、親子闘争、膨大な金利負担と資金繰り交渉などの苦難に見舞われます。結果的に債務免除と引き換えに父親が自己破産、自身は退任を余儀なくされます。その後、再生ファンドによる再生も束の間、東日本大震災による仙台工場の被災で、ファンドが解散、今度は社員に乞われる形で再々生の担い手として社長に復帰します。
経営悪化の際の銀行や仕入先等との資金繰りを巡っての厳しいやり取りを、臨場感ある語り口で再現いただきましたが、まさに修羅場、強靭な精神がないととても耐えられないと感じさせられるものでした。
その後、従来の紳士服製造から、オーダースーツの工場直販から小売への展開を図るという思い切った戦略変更とそれに合った企業改革を行い、現在はオーダースーツの店舗数日本一になるまで成長されました。
その間、中小企業が新たに小売へ展開するにあたっては、知名度と信用度が重要とのことで、カンブリア宮殿等のTV出演などのメディア露出を増やすこと、さらにはスーツを着てスキージャンプや富士山滑降を行うといった身体を張った宣伝を積極化されたとのこと。
企業再生の実践にあたり自社のフィロソフィー=「規範(マインド)」の重要性についてお話がありました。そしてそれらが見事に17か条ともリンクしていたとのお話に感銘を受けました。具体的には「おもてなしの心(=尊己求人)」、「自責の思考(運命自招、人生神劇)」、「チャレンジスピリット(苦難福門)」、「ポジティブ・シンキング(明朗愛和、心即太陽)」、「執着心(信成万事)」の5つです。
この中で特に「おもてなし=利他の心」、すなわち「世のため、人のために、命を懸けている人には応援する人が現れる」というお話があり、実際、何度も窮地を乗り越えてきたそうで、大変心に残りました。
「出足」、「手数(てかず)」、「PDCA」をモットーとして、そのスピード感ある実践スタイルは大変刺激になりました。また、強靭な意思のもとでの実践を通じて、壮絶な苦難を克服された方ならではの、まさに著書のタイトルにもある「迷ったら茨の道をいけ」に象徴される、大いに勇気を与えていただいた貴重な講話でした。
安田 雄彦 記
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