5月10日(金) 第801回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【クラブ30年を迎えての新たなビジョンについて】坂本 紘司
株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役社長
講師は2023年7月に株式会社ベルマーレ代表取締役社長に就任された坂本紘司氏。
1999年の経営難の時にクラブ消滅の危機を救ってくれた地元の皆様への恩返しを胸に、
人生と地域を豊かにするクラブ経営についてお話くださいました。
今年で46歳になる坂本氏は、21歳の時に平塚の地へ来ました。
1993年にJリーグが発足。当時中学生だった坂本氏は絶対にこの舞台に立つんだと決意をし、
高校生になると「サッカー王国」と呼ばれていた静岡県に単身でサッカー留学。
高校を卒業後、ジュビロ磐田へ入団し目標だったJリーガーに。
試合に出れない日々の中、プロのキャリアで実績の無い選手だった坂本氏を
湘南ベルマーレが拾ってくれ、そこから13年間プレーをすることができました。
引退の時に、クラブに残ってスタッフとして働かないかと声をかけてもらい、
会社員として株式会社ベルマーレに入社。
営業や強化部長など様々な役職を経験し、現在の代表取締役社長となりました。
新たなビジネスとしてSDGsに着目。
SDGsに取り組みたいけど何をしたらいいか分からない企業から相談を受け、
ベルマーレと一緒に活動を行うプログラムを提供しています。
また、色々な企業を繋げるプラットフォームも展開。
植樹を行っている企業と、一見関係の無さそうな海の魚を使った
蒲鉾(かまぼこ)を作る企業、そしてバス会社と一緒にイベントを開催。
「山を守ると川が豊かになり、海へと繋がっていく。」
蒲鉾をおいしくいただいた後に、バスに乗って山に行き植樹を体験する。
子供たちが楽しく学ぶことができ、企業はSDGsに貢献ができる。
多くの人が関わり、みんながWin-Winになれる企画を実施しています。
スポンサーとしてただ広告を載せるだけではなく、
広告を出した上で社会に貢献できる、企業の課題を解決していくことを
ベルマーレと一緒にやることで新たなプラスαの価値を提供しています。
ベルマーレの強みは地域に根差したクラブであること。
消滅の危機から救ってくれた地元の名士、サポーター、
ベルマーレを潰してなるものかと繋いでいただいた命を返そうと、
「Jリーグで一番地域活動をやっているクラブになろう!」
その想いで積極的に地域活動に取り組んでいるそうです。
2019年には2500回もの地域活動を行っており、その後も少なくても年1000回以上は
何かベルマーレにできる地域の活動をしているという強み・ノウハウがあるので、
それを繋ぎ合わせて新たな収入を得ていこうとしています。
また、6月には地域の子供(11歳以下の小学5年生)を対象とした国際大会を開催。
海外の6クラブを呼んでおり、この年代から海外のサッカーに触れることのできる機会を提供。
地域の子供たちが喜ぶことという意義に対してスポンサーをしていただく取り組みも始めています。
さらに、足が動かない、車いすに乗った長期療養児の子を選手として契約。
プレーはできないけど、練習のコーンを並べたりなど大好きなサッカーに関わって
社会復帰していくことのサポートを始めています。
そうした活動に共感してくださる企業にスポンサーになっていただくこともしています。
他のクラブではやっていない、広告収入だけではない事業に目を向けて
20年、25年かけて蓄積してきたノウハウを繋ぎ合わせて収入を増やしていくことにトライしています。
冒頭からも何度も語られた、
消滅危機があって「助けてくれた」「支えてくれた」地元に、
今度は我々が「恩返しをしていく」「お返ししていく」という言葉。
企業として社会貢献することが恩返しになる。
地域に根差した活動は、平塚の地で働いている私自身も
取り組むべき内容だと心に刻む講話でした。
幹事 大前 俊 記
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