5月3日(金) 第800回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー 【震災の国ニッポン 何を学ぶか】川内 美喜男

震災の国ニッポン 何を学ぶか

5月3日(金) 第800回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【震災の国ニッポン 何を学ぶか】川内 美喜男
一般社団法人倫理研究所 法人スーパーバイザー
株式会社ティー・シー・エス 代表取締役会長

「▼※△っしゃー!そこでなんばしよっとか!出ていけー!」という怒声で始まった講話。少々ビビりましたが、これは講師の川内スーパーバイザー(以下、川内SV)が15歳の時に、長男の兄からナタを振り上げられて怒鳴られた時の様子でした。川内少年がラジオ講座を受講したいというので、母親が少しずつ貯めたヘソクリで買ってくれたラジオカセットデッキに対して、思わず自分が欲しかったものは「これじゃなかー!」と言ってしまい、長男の怒りを買ったのでした。そして、大好きだった亡き母親に対して今でも反省し切れない、というこの一件がその後の川内SVの行動の在り方に大きく影響することになったのです。さらに、このわだかまりがずっと引っ掛かり、それを何とか打開するまで今までやってきた、という表現もされました。

川内SVは、高校卒業後、熊本から平塚に出て来て会社勤めをされていましたが、やがて独立して、介護サービス事業を営む株式会社ティー・シー・エスを創業、今期で36期目を迎えます。創業して程ない頃の1995年1月に阪神・淡路大震災が発生しました。そして、知人たちがボランティアとして現地へ赴く中、川内SVは行けませんでした。あれこれ行けない理由ばかりを考えてしまった自分を悔やみました。

その後、川内SVは2002年に倫理法人会に入会されます。倫理を学び、実践されていきますが、そのような中でも、地震大国日本には10年を経ずして度々大地震が発生します。

2004年10月        新潟県中越地震
2011年3月        東日本大地震
2016年4月        熊本地震
2024年1月        能登半島地震

川内SVは、再び行けない理由を考えてしまいます。しかし、倫理を学んだからなのでしょうか、あるいは、あの15歳の時の母親に対する言動のモヤモヤを吹き払うためなのでしょうか、事業の一つである訪問入浴サービスの器材を車に積んで全ての被災地に向かいました。新潟では東京都狛江市と連携して水の確保、石巻では生後間もない赤ちゃんの入浴、熊本ではエコノミークラス症候群の危険がある車中泊者への対応、と一心不乱に動きます。経営する会社の社員は、社長の行動を見守るしか術がありませんでした。ところが、今年1月の輪島は違いました。社員6名が車3台で後を追って駆けつけたのです。そして、一人では、一日せいぜい10人しか入浴させられないところを、50人を入浴させることが出来ました。川内SVには、常々、どうしたら自分の背中を社員に見せることができるのか?、また「お袋さん、これで良かろうか?」という自分への問いかけがあったようですが、能登の地で少し答えが見つかったのかもしれません。

震災の度に被災地へ向かう川内SVの行動の背景には、かつて母親へ発してしまった心無い言動を払拭したいという思いがありました。利他や感謝の心を真摯に実践される川内SVの思いは、間違いなくお母様に届いていると思います。

最後に、川内SVが朗読された、作者不明の「手紙~親愛なる子供たちへ~」という詩を記して、このブログを終えます。

「年老いた私が、ある日、今までの私と違っていたとしても
どうかそのままの私のことを理解して欲しい

私が服の上に食べ物をこぼしても、靴ひもを結び忘れても
あなたに色んなことを教えたように見守って欲しい

あなたと話す時、同じ話を何度も何度も繰り返しても
その結末をどうかさえ切らずにうなずいて欲しい

あなたにせがまれて繰り返し読んだ絵本のあたたかな結末は
いつも同じでも私の心を平和にしてくれた

悲しいことではないんだ、消え去ってゆくように見える私の心へと
励ましのまなざしを向けて欲しい

楽しいひと時に、私が思わず下着を濡らしてしまったり
お風呂に入るのを嫌がる時には思い出して欲しい

あなたを追い回し、何度も着替えさせたり、様々な理由をつけて
嫌がるあなたとお風呂に入った懐かしい日のことを

悲しいことではないんだ、旅立ちの前の準備をしている私に
祝福の祈りを捧げて欲しい

いずれ歯も弱り、飲み込むことさえ出来なくなるかも知れない
足も衰えて立ち上がる事すら出来なくなったら

あなたがか弱い足で立ち上ろうと私に助けを求めたように
よろめく私にどうかあなたの手を握らせて欲しい

私の姿を見て悲しんだり、自分が無力だと思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力がないのを知るのはつらい事だけど

私を理解して、支えてくれる心だけを持っていて欲しい
きっとそれだけで、それだけで私には勇気が湧いてくるのです

あなたの人生の始まりに私がしっかりと付き添ったように
私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい

あなたが生まれてくれたことで私が受けた多くの喜びと
あなたに対する変わらぬ愛を持って笑顔で答えたい

私の子供たちへ、愛する子供たちへ」

鈴木 孝一 記

5月3日(金) 第800回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
【震災の国ニッポン 何を学ぶか】川内 美喜男
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