第669回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ:『 裸足のすゝめ 』~ハダシパラダイムシフト~
講話者:マンサンダル 代表 坂田 満 氏
倫理法人会の倫理とは、幸せになるための生活の筋道。それは自然の法則に叶った生き方とも言える。欲にまみれた我々人間は、時として自然の一部だということを忘れて傲慢になり、それが問題の種になる。裸足はまさに自然そのもの。人間も動物であることを考えると、靴を履くことは不自然なこと。裸足を提唱し、限りなく裸足に近いサンダルを考案したのが、今回の講話者であるマンさんこと坂田満氏。彼の話を聞いた時、倫理との繋がりを強く感じた。倫理をいくら学んでも、実践しなければなんにもならない。まさに実践の人「マンさん」の話を、皆さんと共有したいと思い今回の講話となった。
靴を履いたことのない足は、指が広がっている。スライドに映し出されたのは、親指も小指も足のラインから真っ直ぐ伸びる「扇型」。靴を脱ぐように言われた我々は、自分の足と見比べる。
私は彼に会った2年前より、靴を極力履かない生活をしている。改めて見てみると、以前より指が広がっている。普通靴を履いていると、やはり靴の形に足が変形してくる。それは当たり前ではない。裸足で富士登山マラソンを完走したり、山岳耐久レースで結果を残している彼も、子供の頃は運動が苦手だったという。
運動嫌いというコンプレックスを抱えたまま40歳の時、ある本が彼の人生を変える。「born to run」人は走るために生まれた。走るのが嫌いな方には共感できないタイトルかもしれない。でもそれが窮屈な靴のせいだとしたら? 私もこの本を読んだが、裸足で生活するアメリカの原住民族が、山岳ウルトラマラソンを走る物語。そこで彼らが履くのは、一流メーカーの靴ではなく、フルタイヤを紐で足にくくりつけただけのもの。
これはワラーチと言って、日本でも一時流行り、マンさんの考案した「マンサンダル」の原型でもある。そしてさらにシューズの問題点が、理論的に描かれている。靴のせいで身体を痛めている。私は運動が専門なので、この辺の理論はかなり研究したが、一般的には知られていないだろう。
でもクッションの良い靴は、足裏を守ってくれるが、人間本来の衝撃を吸収するという機能を退化させる。痛くない足はより安定を求めて強く着き、より効率化を求めて、地面を強く引っ掻くようになる。その負担は守られている足ではなく、膝や腰にかかってくる。
苦難福門
苦難が大切なものを教えてくれる。裸足の足裏は常に地面からの刺激や衝撃を直接受けることになる。その苦難をシューズで取り去ることで、もっと大きな苦難の種になる。かといって、簡単に靴を脱げるものではない。それは常識という壁。
彼はこの本を読んで、裸足の魅力に気づくと、これまで靴に閉じ込められていた自我を解放するかの如く、裸足道を極めていく。
そもそもわずか100年前、靴を履いている日本人はほとんどいない。野蛮だ、危険だと徐々に裸足が追いやられ、現在に至る過程を説明されると、常識というのは作られたものだと、改めて感じる。裸足の良さを語る人は少なくないが、現代裸足になるハードルはかなり高い。
その間をつなぐものとして、彼は限りなく裸足に近いサンダルを考案。裸足に近い履き物は他にもある。しかしシューズに慣れた我々が、いきなり底の薄い靴や低機能な靴を履くと、かなりの確率で怪我をする。ポイントは足裏に貼りつかない。限りなく裸足に近いことを目指して考え抜かれたサンダル。
会場にもzoomオンラインにも、彼のサンダルで裸足に親しむ人々が集まった。裸足の効果は果てしない。逆に言えば殆どの現代人が、その効果を放棄しているという。
冷え性、膝痛、腰痛、抑うつ。これらが裸足になるだけで良くなる。靴下や靴で足を覆うことで、本来の人間の機能はバグを起こすという。大切なのは振り切れること。芝生や砂浜など気持ちの良いところではなく、砂利や山道など厳しいところを敢えて歩く。そうすれば他のところは問題なく歩ける。靴を脱ぐだけで、日常はエクストリームになる。何か踏むんじゃないか?怪我をするのでは?職質されるのでは?
彼の情熱は全国的に広がりを見せている。IT企業の福利厚生として、社内でのワークショップを開催。また長野県の小海町では、町民にサンダルを配布する事業なども行われている。そしてSNSを通じて、マンサンダルを履く「マンサンダリスト」は全国に広がっている。 先日登壇されたあきさわ園の秋澤代表も、共感してご参加いただいている。
自然を活かして、本来の人間の裸足の状態を体験する。常識を覆すのはリーダーの決断しかない。小海町の事業も、担当者レベルでは進まなかったという。町長が体験して鶴の一声で、一気に話が進んだそうだ。これまでの常識と違うことをする時、脳は全力で止めにかかる。我々の頭は変わるということを恐れるからだ。裸足になった足裏の感覚に反応することが、一歩を踏み出す秘訣。本能に従って動くこと。これがイノベーションに繋がる。
最後に彼の夢を語ってくれた。
私には夢がある
いつの日かみんなが裸足になって、自分自身が持つ本当の力を知り
発揮できるようになるという夢が
私には夢がある
いつの日か人々が裸足のメリットを知り、様々なことに応用するようになるという夢が。
私には夢がある
いつの日か人々が裸足でつながり
平和で幸せな世界が訪れるという夢が
この言葉で講話を締め括ったマンさん。この裸足の話は、人間として、経営者として、大切なものを教えてくれると同時に、一方踏み出す勇気をくれる。
今日はオンラインはもちろん、リアルの会場にもマンサンダルを履いた仲間がたくさん参加され、かなりの盛り上がりを見せた。自分を変えるということ、大転換の時代に、これまでの常識を変える、パラダイムシフトを起こすというのは、裸足になることから始まるのかもしれない。
専任幹事 内山 聡 記
コメントを残す