第653回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ:『 鎮守の森を世界に いのちの森づくり 』
講話者:平塚市倫理法人会 会員 出雲大社 相模分祀 草山 清和 宮司
講話は恒例の出雲大社相模分祀の草山宮司。私は、3年前ゲストでこの移動セミナーに参加し、翌週から入会した。その時もお話しされていた、千年の杜づくりが今回もテーマ。この秦野の出雲大社の隣には、植樹によって作られた「千年の杜」がある。
講話はありがたい茅の輪潜りの由来からはじまる。葦原の中津国をさきわえる(栄える)国にしようと。そのために祓いをする必要がある。罪穢れを祓う、罪とは我欲のこと。
『一霊四魂』
一霊とはなおびのこころ 自分の元となるもの。
和御霊 和の御魂
荒御霊 戦う御魂
櫛御魂 まとめることで幸せという奇跡を起こす
先御魂 栄えるための御魂
本来のこの一霊四魂を我見により、自分が正しいという我欲我見に偏った心になる。そんな心を川に、海にながし、素直な心を取り戻す。そのための祓いが、この夏越の祓いの元になる。正しさは我欲である。さまざまな正しさが、今の世界を苦しめている。現代社会の根深い問題に、宮司は明快な言葉で切り込む。
そして日本に四季があるのは、地軸の傾きから始まると、地球や生命の起源のお話に。原始の地球に小惑星がぶつかり、月ができ地軸が傾く。それにより四季の変化ができる。酸素が今よりもっと多かった五億年前に植物ができ、大きな昆虫が栄えるようになるころ、人間の祖先が生まれる。
小さな哺乳類である人間は、仲間を作り、和をもって、みんなで幸せになるという知恵を育む。八千年前には日本に縄文人が住んでいる。世界でも最初に木を植えたという記録があり、それは栗の木だったとのこと。みんながくりを食べて、もちろん植物は酸素を作り出す。
人間は緑の寄生虫、増えすぎた動物、特に人間は二酸化炭素を大量に吐き出している。森を作ることは命を作ること。森づくりの第一人者宮脇昭さんのもと、森について研究する。そんな折、隣の土地が売りに出されると、その土地を取得したエピソードを話をしてくれた。
想いの強さが、現実を変えていく。草山宮司は事業を形にする経営者の側面を持っている。その事業は営利ではなく、生命の森を作る壮大な事業。現実のハードルを行動力で乗り越えた。
17000本の植樹で始まった森づくりは、天皇陛下を呼んでの植樹祭を実現。今年で10万本を植えることになるという。10万本といえば、明治神宮の森と同じだということ、その明治神宮での植樹の話になる。
杉と檜を植える予定の植樹に対し、本田清六という東大の名誉教授は、時の総理の大隈重信に、植樹の際の木の選定についてフィリップでプレゼンした。多様性のある木を植えることに成功した。杉や檜はこの辺りの土地には合わないとのこと、材木としての価値を求めて各地に植えられているが、それは緑の砂漠だという。
丹沢の山にも杉檜が植えられている。しかし輸入材が入ると需要がなくなり、木は放置されていく。密集して植えられ、増えすぎた杉は花粉症の原因となっている。地盤にも悪影響を及ぼす杉や檜の単色林ではなく、その土地に合った多様性のある森づくりが必要。その話は人間社会の多様性につながる。
見栄えの良い単一の集まりではなく、清濁を併せ呑むような、それでも悪いものを吐き出す力を育むことが、本来の森づくり、人づくり。コロナによる影響で世界中の人が集まる植樹祭は延期になっているが、近いうちに実現する。新東名のインターに森を作る誘致運動など、さまざまな方向で活躍するする草山宮司は、穏やかな人柄とは裏腹に、強い信念を持っている。壮大かつ倫理的なその事業を進める実行力。さまざまな意味で学びになる講話でした。
専任幹事 内山 聡 記
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