特定非営利活動法人 健康サポーターJAPAN 飯村 隆志 理事長

病気を卒業

第647回 平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
テーマ:『 病気を卒業 』~病気≠病人という生き方~
講話者:特定非営利活動法人 健康サポーターJAPAN 飯村 隆志 理事長

 彼との出会いは、倫理の仲間の紹介でした。以前医療健康のインターネットてのイベントにオンライン上でお話しさせていただいた。その後オンラインでの付き合いで、彼の明るさ、人懐っこさにより仲良くなり半年後、前日あるイベントで直接お会いした。癌を2回経験して、その経験から癌患者のサポートをしている。

 病気大好き、医療大好きおじさん、メッシー。彼の明るさから、癌を患ったと言うのがちょっとイメージできない。お会いした時にその秘密に触れ、これは多くの人にシェアしたいと思い、講話が実現した。

 最初の癌はキャリアアップのために転職した医療機器メーカーで、取り扱っているエコーの研修中自ら発見した影がきっかけだったという。まず珍しいケースで、面白おかしく話してくれたが、その腫瘍は二年経って癌だと診断される。当時のショックは宣告から翌朝までの記憶がないということで、相当だと思うが、自分よりも奥様が取り乱したと言う。となりで激しく取り乱し、悲しむ奥様を見て出た言葉が、大丈夫。男の見栄が自分を苦しめる始まりとなった。

 癌の経験に蓋をしよう。癌を無かったことにする選択をした自分は、これまでの生活を省みるのではなく、忘れるためにさらに仕事に没頭する。そんな彼が35歳の時、二度目の癌が見つかる。今度は肺の癌で、前回よりリスクが高いことを知って、恐怖が襲ってくる。しかし奥様には辛さを見せられず、苦しい思いをしたと言う。患者仲間の話から、意を決して奥様と向き合うことを決意、お互い気を使っていたことがわかり、ようやく一緒に癌と向き合えるようになった。

 癌になった理由。それは体からのメッセージ。これは倫理でも学ぶことだが、実際にこれを体験から伝えてくれる。病気の治療も大切だが、それ以上に病気になった意味を考えて、生き方を変えるのが大切。ある人にこう言われたとき反発も覚えたが、思い返せば心当たりが。

 最初の癌から患者をサポートする活動をしながらも、そもそも人が嫌い、人は自分を傷つける存在だと思っていたことに思い当たる。病気は何かを我慢して、自分らしい生き方をしていないとき体が病気というサインで教えてくれる。治療と同じくらい病気になった意味を考えて生き方を変えることも同じくらい大切。

 人に寄り添うと言う行動と、人が嫌いという矛盾が、自分の我慢の元だと気づいた彼は、人が嫌いになった過去まで遡り、その原因を探るとそれは若き日の誤解だと言うことがわかる。気持ちが変わると、癌に対する不安が薄れ、自分の生き方に自信がつくと、大丈夫という確信が生まれる。

 そして仕事は自分の患った癌を早期に発見するためのプロジェクトに関わるようになる。病気になったのは運命としか思えない。患者として、病気と向き合える一人の医療人として、病気が大好き、医療が大好きと言う、明るいおじさんが出来上がった。

 どうやって彼は心を変えたのか? 〇〇すべきを全て手放す。大人だから、男だから、社長だから…
義務感ではなく望んでやっているという意識に変える。癌患者だから…辛そう?かわいそう? とても優しくしてもらえる。元気にしていられない? 患者と言う人生を生きていると、大切な時間がそれで終わってしまう。

 患者意識を手放す。いつまでも自分らしく生きられる。余命宣告された方に、いつまで生きたいか?なぜ生きたいか? 余命に二ヶ月の末期膵臓癌の方に、二年間生きたいということで、二年間生きるための応援をする。結果半年間は自分らしく生きられたという。

 運命は生き方で変えることができる。患者を生きている人に対して、この言葉を言えるのは、同じ境遇を知っている人だけ。いつでも自分らしくメッシー全開で生きているという彼は、今後患者目線での医療機器を世に出したいと言う抱負を語ってくれた。

 苦難福門、疾病信号、運命自招

 さまざまな学びを癌からもらい、それを大好きと言い切れる。明るさの裏に秘められた、彼のメッセージは彼のサポートする患者だけでなく、我々にも共通する心の持ち方を教えてくれました。

専任幹事 内山 聡 記

平塚市倫理法人会 経営者モーニングセミナー
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